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コンパクトシティはなぜ失敗するのか 富山、青森から見る居住の自由

2016/11/8(火) 14:00 配信

   【略】

「消滅する集落がある一方、そのすぐそばに新しい住宅地が出現するケースもある。もし文字通りに街をコンパクトにするのであれば、強制力を伴う居住制限区域を設けるなど、思い切った施策が必要になるでしょう」

その上で藤波氏は、今後はすでにある社会資本の有効利用によって「住民が付加価値の高い仕事に就ける仕組み作りをするのが最優先」と提言する。

「地域に住む1人あたりの経済的な豊かさを実現すれば、たとえ人口が減って行政サービスが行き届かなくなっても、地域でお金を出し合ってコミュニティバスなどインフラを維持することもできる。物理的に街をコンパクトにできない以上、地域の豊かさを向上させる施策にももっと目を向けるべきです」

地域政策や環境政策などの領域で研究活動を続ける藤波匠氏(撮影: 八尋伸)

しかしながら、都市のコンパクトシティ化はすでに国策的な色を強めている。政府は2014年、都市を「都市機能誘導区域」と「居住誘導区域」に分け、区域外の開発を抑制する「立地適正化計画」の導入を決めた。財政が逼迫する中、国が「理論としては完璧」なコンパクトシティ政策を急ぐのは、将来的な「居住制限」への布石と捉えることもできる。

こうした流れが一段と進めば、先祖代々からの土地や住み慣れた家から離れざるをえない人も出てくるだろう。自ら高いインフラコストを払ってでも愛着のある土地に住み続ける「居住の自由」を取るか、行政サービスの行き届く居住推奨地区で集住するか。選ばなければならない時代がすぐそこまで迫っている。

庄司里紗(しょうじ・りさ)

1974年神奈川県生まれ。大学卒業後、ライターとしてインタビューを中心に雑誌、Web、書籍等で執筆。2012〜2015年までの3年間、フィリピン・セブ島に滞在し、親子留学事業を立ち上げる。現在はライター業の傍ら、早期英語教育プログラムの開発・研究にも携わる。明治大学サービス創新研究所・客員研究員。

連載「土地」が日本を悩ませる

日本において長らく土地は資産と同義だった。だが少子高齢化が進む現在、もはや土地は「価値ある」「頼れる」「守るべき」ものではない。被災地、限界集落から地方都市、東京都心まで、「土地」はさまざまな形で日本を停滞させている。この連載では、現場の事例を取り上げ、日本の土地問題の正体に迫る。

第1回「地権者は「ゴースト」 所有者不明地という日本の難題」

第2回「増える空き家、「スラム化」する老朽マンション 撤去費用を支払うのは誰か」

[写真]

撮影:岡本裕志、八尋伸

写真監修:リマインダーズ・プロジェクト

後藤勝

[図版]

ラチカ

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https://news.yahoo.co.jp/feature/423