「毎日かあさん」「越境者」&「人生タクシー」

 …昨日の話し。

 午前中、DVDで小林聖太郎監督の「毎日かあさん」を観て、昼からビデオでピエトロ・ジェルミ監督の「越境者」を観ました。夕方、神保町へ。

 午後7時、一ツ橋ホールでジャファル・パナヒ監督のイラン映画「人生タクシー」の試写会に行ってまいりました。

 ☆「毎日かあさん」(2011)監督 小林聖太郎 出演 小泉今日子永瀬正敏、矢部光祐、小西舞優正司照枝古田新太大森南朋田畑智子光石研鈴木砂羽柴田理恵北斗晶安藤玉恵

 二人の子育てに仕事にと忙しい日々を、持ち前のたくましさで乗り切る漫画家のサイバラ。元戦場カメラマンの夫カモシダは、戦場でのトラウマのせいでアルコールに溺れ、二人は離婚することになる。

 大切な家族を失い、アルコール依存症と闘う夫だったが、今度はガンが見つかり……。

 漫画家・西原理恵子が自身の体験を基にした人気マンガ「毎日かあさん」の実写映画化。

 …僕はオリジナルの漫画を読んではいなかったので、てっきり漫画家・サイバラの子育て奮闘記みたいなものなのかなぁ、程度の感じで見始めたのですが……。

 いやいや、コレは、なかなかヘビーな内容の、漫画家・西原理恵子と元戦場カメラマン・鴨志田穣の夫婦愛の物語でありました。

 …思いがけず感動してしまいました。(笑)

 ワタクシ自身、アルコール依存症とまでは言いませんが、酒で血を吐いた経験が何度かあったりするもんですから、鴨志田穣の置かれた状況など他人事ではなかったですよ。

 小泉今日子永瀬正敏が実際に元夫婦だったりすることはあまり気にはならなかったのですが、あの “ 芝居じゃ出ないだろう距離感 ” などは良い方向に影響したのだろうか。

 そう言えば、「グーグーだって猫である」の小泉今日子も漫画家でしたよね。

 作品としては、本作の方が数段出来は良い。

 …これまでカメラマン・鴨志田穣って人、知らなかったけれども、ちょいと興味がわきました。

 以下に鴨志田穣西原理恵子と知り合ってから亡くなるまでをざっと述べてみます。

 『1996年、タイを取材中の漫画家・西原理恵子と出会う。同年9月、西原と勝谷誠彦アマゾン川取材企画にCSテレビのビデオカメラマンとして同行。過酷なジャングルロケを敢行する。取材後、帰りの飛行機の中で西原にプロポーズ。9年ぶりに日本に帰国し、西原と結婚。一男一女をもうける。西原の著書には「鴨ちゃん (タイでの初登場時のみ「鴨くん」) 、「鴨」として登場、西原が毎日新聞にて連載している「毎日かあさん」では「アブナイお父さん」として描かれた。

 自身のアジア滞在経験をもとにした西原との共著「アジアパー伝」シリーズで作家としても本格デビュー。その後も西原と共に各国を巡る。

 

 アルコール依存症による暴言・器物損壊等で精神病棟への入退院を繰り返し、2003年に離婚。しかし離婚後も西原のサポートにより、2006年遂にアルコール依存症からの回復の道を歩み始める。同年、著書「酔いがさめたら、うちに帰ろう」の中で、癌であることを告白。離婚後別居していたが、高須克弥の仲介によって西原と復縁 (入籍せず、事実婚の形) し、闘病生活を共に過ごす。

 2007年3月20日午前5時、腎臓癌 (正確には平滑筋肉腫) のため42歳で死去。喪主は西原が務め、4月28日には一般にも向けた「お別れの会」が行われ、1250人の参列があった。遺灰は本人の遺言に乗っ取って西原が子供とともに世界各国の海に流したが、一部は鴨志田家が引き取った』

       (Wikipedia 鴨志田穣「経歴」より)

 『オレさ…… 人として死ねることが嬉しい』

 …カモシダさんは、幸福であったと信じたい。

 ☆「越境者」(1950)監督 ピエトロ・ジェルミ 出演 ラフ・ヴァローネ、エレナ・ヴァルツィ、サロ・ウルツィ、フランコ・ナヴァッラ、リリアーナ・ラッタンツィ

 シシリー南部の鉱山が閉山され、坑夫たちが職にあぶれてしまった。そこへ、とあるブローカーの男がフランスへの不法移民を持ちかけてくる。

 男の甘言に従い、坑夫たちは家財を売り払ってフランスへ向けて旅立つ。しかし、かき集めた金を、その男に持ち逃げされてしまう。

 行き場を失った彼らは、それでもフランス行きを強行しようとするが……。

 名作「鉄道員」や「刑事」等で知られるピエトロ・ジェルミが、こんな面白い映画を作っていたとは知りませんでした!

 …隠れた秀作です。

 1950年、…日本で言えば昭和25年、戦後の混乱期。鉱山の閉山、…疲弊した経済、社会不安。 “ 時代の流れ ” なんだよね〜。イタリアも、日本もいっしょだったんですねぇ。

 シチリアからナポリ、ローマを経て、アルプスを越えてフランスへの、一種のロードムービーとなっています。

 …こちらも、思いがけず面白い映画で良かったです。

 『この世に

  国境は必要ないのだ』

 ☆「人生タクシー」(2015)監督 ジャファル・パナヒ 出演 ジャファル・パナヒ

 『活気に満ちたテヘランの町でパナヒ監督自らタクシーを走らせ、さまざまな乗客を乗せる。ダッシュボードに置かれたカメラには強盗と教師、海賊版レンタルビデオ業者、交通事故にあった夫婦、映画監督志望の学生、政府から停職処分を受けた弁護士など、個性豊かな乗客たちの悲喜こもごもが映し出され、彼らの人生を通してイラン社会の核心へ迫っていく』

            ( “ 映画 . com ” より)

 反体制的な映画製作活動を理由に、政府から20年の映画制作禁止と6年の自宅監禁を命じられた (!) 映画監督のジャファル・パナヒが、タクシー乗客たちの様子から、厳しい情報統制下にあるテヘランで暮らす人々の人生模様をドキュメンタリー・タッチに描いた作品です。

 …あくまでも、フェイク・ドキュメンタリーであることは強調しておきたい。

 …う〜ん、狙いはとてもよくわかるのだけれども、いまひとつでした。

 フェイクなら、もっとエピソードを面白く出来ただろうに。なにか、すべてが中途半端な印象で、消化不良のまんま映画館を追い出された感じですね〜。

 …イランのタクシーって、乗り合いバスみたいに、どんどん人が乗ってくることにオドロイタ。(笑)